ガマズミ

冷たい手が行き場を無くして
初めての春がくる
1つ上の階の足音に起こされて
煙を浮かべた

締め付ける生活の跡と
味蕾で覚えてる蜜の味
君が奪われて
僕が全部奪いとった

優しい人
自分の棘も愛せたら
汚れた手で触れていいかい
言葉は痛い 本音は汚い
綺麗事じゃない 綺麗でいたい

優しい人
君は僕を愛していた
その隣で僕は僕だけの事を考えてた
君の夢の残骸の上に立ち
最後の去り際さえ
奪われた君のせいにした

冷たい手はもう浮浪に慣れ
二度目の春を待つ
舌打ちの後 壁を蹴ってうぜえと
ひとりで声に出した

首筋の独占の歯跡
未来に残せなかった形
ひたすらに優しさだけで
愛せないのは不安だから

優しい人
手放し目を隠しながら
歩いた白線の距離
言葉を聞きたい
本音を知りたい
本当は君を知りたくも無い

優しい人
君は僕を信じていた
その隣で僕は僕の歩幅を数えていた
君の夢の残骸の上に立ち
最後の去り際さえ
奪われた君のせいにした

染み付いた生活の匂い
過去に見た未来と今の暮らし
あの日と変われない動悸に焦っていく
焦っている

暖かく柔らかい場所で
二つ目の心臓の音を聴く
君の目に写る光を見てみたいよ
見ていたいよ

優しい人
自分の棘も愛せたら
汚れた手で触れていいかい
言葉は痛い 本音は汚い
綺麗事じゃない 綺麗でいたい

優しい人
君は僕を愛していた
その隣で僕は僕だけの事を考えてた
君の夢の残骸の上に立ち
最後の去り際さえ
奪われた君のせいにした

つま先立ち覗くフェンス越えて
地面に音を立てた
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