陽炎と泡沫

揺れる 風が吹く 君の髪乱し駆け抜けた
長い影が伸びる 遠くの方で重なって
寄せる波の音 繰り返す 何もかも飲み込んで
淡い記憶と共に はじけた

憂う日々の中 いびつに潜む 奥深く
抜け出せないまま このままでいいはずはないと
言い聞かせてみる どうにもならない 浮き沈み
ずっと待ってみたけど 現状を維持 努めてます

あてもなくただ彷徨い続けて
今日がまた終わりを告げる

忘れかけていた 振り向いた君はのっぺらぼう
本当はもう 思い出せないだろう
流されてく 時に身を任せすぎて
「いらない いらない いらない いらない」
そう 霞んでゆく

溢れかけていた グラスは飲み干してしまおう
宵闇に溶けてしまう前に
生まれ変わった私を君はまだ知らない
「知らない 知らない 知らない 知らない」
もう 消えてゆく
泡になる

「映画みたいだね」
潮騒が記憶する言の葉に
まんざらでもない 相槌返して微笑みあって
少しずつ浮上してく 底から 頭上めがけて
側にいたいから 惹きつけられる
でも詰まらない距離

眠れない夜は思いに耽る
星数え夢に堕ちる

今は何に染まっていたのか分からない
真っ白に塗りつぶしてしまおう
繰り返してく長い長い続きを
回る回る 巡り巡る
そう 歩んでいく

デフォルメの太陽に
照らされた 熱を帯びたシャボン玉
見えなくなるまで飛んでった
その先の果てに 何がある

通り雨がアスファルト濡らしてく
吹き抜ける風がやけに心地良かった
揺れる影も 君の事も
消えてゆく

もう忘れかけていた 振り向いた君はのっぺらぼう
本当はもう 思い出せないだろう
流されてく 時に身を任せすぎて
「いらない いらない いらない いらない」
そう 霞んでゆく

霞んでゆく
消えてゆく
泡になる

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