図書館においで

読書好きの人が「図書館は本に呼ばれに行くところ」だって
さっそく行ってみたけど 誰にも呼ばれませんでした

でも気付いたらボクの手が 棚に勝手に伸びていて
欲しくもない本を バックパックにしまっていたんです

アタシが彼の肩をそっと叩いた あの日は曇りで
今にも泣き出しそうに振り返る アンタの眼差し

「貸出手続きしてくださいね」と声をかけたら
突然崩れ落ち「本に呼ばれなくて 魔が差して」と泣きじゃくるアンタ

2学期が始まる今日は 自殺する子が多いって
アタシは「学校行きたくない子は図書館おいで!」とつぶやく

みんな借りてくのは本じゃなく アタシとの繋がりで
返却ポストに返さず わざとアタシの窓口に来ちゃうから

今日も本を返しに来れたアンタに ありがとうを返してあげる

「学校行きたくない子は図書館においで!」一日いても誰も何も言わないよ
学校へ行くくらいなら死んじゃおうと思ったら
アタシの図書館に逃げておいで

「仕事行きたくない大人も図書館においで!」今日も無駄だったと
責めずにまだ開いてるから
仕事へ行くくらいなら死んじゃおうと思ったら
アタシの図書館に逃げておいで

最近知ったけど図書館は清潔な住宅街では
優しい姥捨山になってきてるみたい

「もう介護イヤな老人も図書館に捨てて!」今までよく頑張ったねと
受け取ってあげる
こんな介護続くなら死んじゃおうと思ったら アタシの図書館に捨てにおいで

いつかアンタたち税金を払えるようになったら「図書館なんて税金の無駄」
とか怒らないでね
図書館がデジタル化されてアタシの居場所も消えたら
今度はアンタがアタシを守ってね
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