仮縫いのドレス

髪の巻き方は
そよ風に訊いた
花を摘んでも
叱られなかった

夢がまだパンの
代わりになる頃
時は心に
満ちていたのに

靴ずれが痛くて
気づいた景色は
いつのまにか変わる
変わる

だけど 思い出は
帰る場所じゃない
明日へ行くための
それは道しるべ

壁の落書きは
そのうちに消える
ひとりきりでも
眠る夜が来る

人生はいつも
仮縫いのドレス
似合う季節が
わからないまま

悲しみに教わる
幸せもあると
涙がそう言うわ
言うわ

そうね 思い出は
遠いものじゃない
いつでもそばにある
それは物語

思い出は
帰る場所じゃない
明日へ行くための
それは道しるべ
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