相反スペル

最後に君が残したスペルの名は

砂をはらい綻んだ靴紐を結えば
荒ぶ風は感情を巻き上げて
遠く乾く記憶濡らしながら
やがてスコールへと姿を変えてしまった

どうして君は明日を信じられる
他人の騙る理想郷には
僕らの居場所は初めからどこにもない

目が覚めたらまた独りになるから
せめて夢の中で旅を続けたかった 君と

塞ぎ続け歪む思考は全てを傷つけて
過去さえ汚してしまう

教えて君が僕を守る理由を
頼る術を持たぬ僕に
君が残したスペルの名は愛だった

どうして君は心痛めながら
他人のことばかりを想うの
僕は同じ場所へ行けない

どうして
ああ 君が残した愛の魔法
上手く唱えられないままで
君は僕を叱りつけるだろう
それでも僕は
君を世界に刻む旅をする
不器用な僕の愛の魔法
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