藤の花

視線を逸らした あの日から
刻一刻と変わっていた
記憶がなくなるその日まで
私は何もできなかった

目を覚まして
もう一度笑って そっと
寄り添うような 二人の影法師は
今もずっと頭の中で
浮かんでは消えていく
まるで全てが幻のように
途切れて 切れるの

ぬくもりに触れた 在りし日の
あなたと私を繋いでいく
夢から目覚めた瞬間に
静かな愛を感じて

手を伸ばして
もう一度握って ぎゅっと
可憐に咲く 孤独な藤の花は
きっとずっと心の中で
生まれては散っていく
まるで全てが泡沫のように
弾けて 還るの

あぁ いつか…
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