草笛の声

いつでも帰りたい場所は
たったひとつだけで
懐かしいあの景色は
時が経つほど色濃くなった

草笛の鳴く土手や干し草の匂いも
美しい風に寄せて聞こえてくるよ
孤独な夜ほど

生まれて初めて見た空
あの海の輝きは
どこにいても心の中広がっている

霜がおりる朝や
雪解けの小路に
芽吹いた夢を乗せて
色鮮やかに描いてみせた

ケンカして出て行った日も
泣いて帰った日も
語らないでもわかる
何も言わずに迎えてくれた

離れて初めて見た空
埋まらない寂しさを
流れの速い雲の群れが隠していた

別れを告げたあの空は
いつまでもここにいた
どこまでいっても故郷に通じていた

あなたの声が聞きたくて
この空に探していた
私の心を残した夕映えの空
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