旅先の雨に

つま先に雨 旅先の雨
気まじめ過ぎた 恋の重さを
逃れた旅と 見すかすように
桔梗に映える 富士に見とれて
ひと時なごむ 心 心責めるよ
せせらぎ近く 笛吹橋に
あの日の君の 忍び声する
旅先の雨に 洗われた心
今すぐ君に 持ち帰りたい
遅過ぎぬうちに 帰りたい

背中打つ雨 旅先の雨
時代遅れの 恋の重さを
恥じる心を いさめるように
うす紅の 桃の花屋根
君と訪ねた季節(とき)が 季節が浮かぶよ
灯ともし頃の 笛吹川に
月見草そっと 音立てて咲く
旅先の雨に洗われた心
今すぐ君に 持ち帰りたい
遅過ぎぬうちに 帰りたい

心打つ雨よ 旅先の雨よ
明日は晴れろ 恋する人
野道を急ぐ 男のために
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