通りゃんせ

こぬか雨なら 袂(たもと)でよけて
夜道暗がり 駆(か)けてゆく
あの彼男(ひと) あゝ恋しくて
何があっても 怖くない
行きはよいよい 別れが怖い
それでもいいなら 通りゃんせ 通りゃんせ

急(せ)かす思いに 心も濡れて
悪い女に なってゆく
冷たい あゝ後ろ指
後ろ指など 怖くない
行きはよいよい 夜明けが怖い
それでもいいなら 通りゃんせ 通りゃんせ

涙みたいな 一筋しずく
袂伝わり 滑(すべ)り込む
この胸 あゝ焦(こ)がすほど
燃える炎は 消せなくて
行きはよいよい 帰りが怖い
それでもいいなら 通りゃんせ 通りゃんせ
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