港町哀歌

夢と知りつつ燃えました
紅差し指をやさしく噛めば
遠い汽笛が夕日を落とす
忘れ旅です 北の港町
寒い しばれる 涙が凍る
もいちど もいちど あなたにすがりたい

ひとりぼっちの海猫よ
おまえが翼すぼめて啼けば
赤い椿が未練にむせぶ
忘れ旅です 北の煉瓦道(れんがみち)
どこを歩けば面影消える
もいちど もいちど 私を追いかけて

明日(あす)は初雪舞うという
桟橋ゆらす満潮見つめ
死んじゃだめよとこの身を叱る
忘れ旅です 北の一人宿
つらい 淋しい 枕が濡れる
もいちど もいちど 抱かれて眠りたい
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