染み

漏れた溜息の音が夜中 台所の方から聞こえた
僕は寝たふりをして過ごしたが犬は吠えて 今日もまた駄目だ
皿が割れて水は溢れた いつかぶりの怒声が響いた
誰も悪くないのに何故また みんなが泣かないといけないんだ
床に染み込むまで 待ってられないからって布巾で拭こうと
シミは広がり滲んで 悲しみは無限に増殖して成り下がる不幸にも
楽に笑える道はない 諦めてしまえたら それが一番楽かも
だけどそれじゃきっともう笑えない 今はただ祈って死んだふり
夢は見れない

どうしようもなくて ただ溢れるのを止められなくて
凍りついたドア 開けるキーも氷になってしまった
誰も入れないんだ 心の奥の部屋には
僕しかいないから 誰か迎えにきてよ 今もまだ
孤独のリビングで

汚れたのは僕のせいじゃないよって 誰に言い訳してるのかも謎
その究明も後始末も全部 僕がやるからもういいよ みんな消えちゃえ
って願い事がもし叶ってしまったなら この世界は綺麗になるのかな
でもそんな世界には涙もない笑みもない 君がいない つまらない
ラブを集めてレベルアップするあのゲームみたいに 勇者できたらいいけど
中盤でダレて止めるのがオチだって 痛みの数だけ優しくなれるんでしょう
今日も 割れたガラスを拾い集めて 赤い血が黒くなる前に洗い流して
傷口を嘘で固めてしまわないように 信じているよ
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