望郷

墨絵ぼかしの 一筆書きか
かすむ山々 ふるさと帰り
都会のぐちも あるだろう
吐いていけよと いうおやじ
むかし五合の 寝酒としゃれた
おやじはお猪口(ちょこ)で 千鳥足

渕(ふち)も瀬(せ)もある 都会の川は
風もきついと ふるさとは云う
傷つくことは 怖いけど
おやじゆずりの 意地もあり
じっとがまんの かあさんがいて
大人になれたと 感謝する

わずか三日で 一年分の
こころやすらぎ 仕事にもどる
あしたの夢は 胸の中
めぐる季節に つかみたい
家(うち)のことなど 心配するな
涙で手をふる 母の顔
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