春花火

晴れ渡る青空に 風を描いて
何度もなぞった道に 別れを告げる
手を振り 涙を拭き その瞳に映している
未来に 大きな夢を抱いて

悲しみにつられて 明けない夜 彷徨い
一人膝抱えていた
それでも 朝はきたんだ だからここにいる
もう迷わない 強くなれた

「キミに幸あれ」
両手を目一杯 開いて
音もなく空に咲いている 春花火よ
背筋を精一杯 伸ばしてるキミを
照らしているから
そっと 照らしているから

電車の中 小さな手で握りしめてた
片道の切符と 優しい母からの手紙
「元気でさえいてくれれば それでいいのよ」
その言葉が 今でもお守りだよ

自由を手に入れて 翼は生えたけど
飛べる力はなかった
それでも 信じていれば 何かになれるよ
何度だって 立ち上がるよ

「キミに幸あれ」
両手を目一杯 広げて
夏も秋も長い冬の日も 変わらずに
風に吹かれて 雨に濡れながら
春を待っている

限りある命 尽きるまで
儚く散る花は美しい
キミが道を迷わぬように
どんな日々も進めるように
打ち上げよう 千輪の花

「キミに幸あれ」
繋いだ手と手 離した
それを勇気と呼んでくれたね まだ帰れない
さよなら またね いつか会う日まで
走っていくから
待ってて
両手を目一杯 開いて
音もなく空に咲いている 春花火
もう見えない場所に一人 キミがいないこの街で
今年も咲くから

満開 贈る春花火
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