夏百物語

しょっぱい風に身体を預けて
日差しにやられた僕の頭の中は
甘いパッションフルーツのかき氷みたく
溶け始めている それだけもうアレに夢中だ
ねぇ 明日はどうだろう

木陰で休んでいても
波打つ音に誘われ
「堪えるな」と聞こえたから
誰かさ、手と足繋がせて

もう誰とキスをしても
もう誰と夢を見ても
一夏の思い出だと
好き放題したらいい

ハイビスカス、麦わら帽子、砂埃から守るパラソル
風情やそんな趣を後ろ盾にして楽しめれば
恋をまたひとつ、ふたつ増やせれていいな

しょっぱい風に身体を預けて
日差しにやられた僕の頭の中は
甘いパッションフルーツのかき氷みたく
溶け始めている それだけもうアレに夢中だ
ねぇ 明日はどうだろう

去年の今頃はまだ
眩しさに目を眩ませ
何もかも見えなくなり
沢山の恋を落としていた

あぁ古びた駄菓子屋の
炭酸の薄いコーラ
変わっても変わらなくても
愛し続けるからさ

泥まみれのビーチサンダル
何度洗えどどうせ汚れる
心の汚れも落ちないなら
そのままタオルに包み込んで
丸ごと明日にまた持っていければいいな

貝殻たちは今日も優しくて
誰かに拾われ、すぐに飽きて捨てられる
それでも何も言わずに潮騒を鳴らす
夏を音にして思い出を蘇らせている
ねぇ 今年はどうだろう

しょっぱい風に身体を預けて
日差しにやられた僕の頭の中は
金色に輝いたプラジャーパティに
見惚れ始めてるそれだけもうアレに夢中だ

きっと変わらぬ恋が愛に変わるだろう
きっと今年の夏はいつか取り返すから
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