十六夜の送り歌

十六夜(いざよい)の月が雲間から あなたを見ている
あなたの手には剣(つるぎ)それは私
あなたを恋(こ)うる銀の刃(やいば)

草木ゆれ 夜露(よつゆ)が道をぬかるみに変えたとて

私が手を引こう いざようあなたをいざなおう
暗く寂しい道ならば 私が光となろう
月のごとく照らしていよう あなたが土となる日まで

細石(さざれいし)のような我が心 あなたは知らない
あなたの目には骸(むくろ) それは仇
あなたが恋(こ)うる人はもう

この世にはどこにもいない ただ月が美しい

私は離れない いかなるあなたも愛そう
赤い血が流れるたびに 私が闇を背負(しょ)おう
雲のごとく隠していよう 再び二人逢う日まで

十六夜(いざよい)の月が雲間から あなたを見ている
あなたを見ている
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