呉れない情話

宿の湯上がり 衣紋(えもん)を抜いて
夜風でうなじを なぐさめる
そんな自分が 虚しくなって
この身体(からだ)そっと 抱きしめる
面影浮かべて 別れの理由(わけ)を
聞けば答えて 呉れないあなた
なぜなの なぜに 呉れないの

漆(うるし)お膳に 紅葉(もみじ)が添うて
季節の移ろい 告げている
何度重ねた 素肌と同じ
温もりのお酒 流しこむ
そんなに飲むなと いつかのように
そうよ叱って 呉れないあなた
なぜなの なぜに 呉れないの

すべてを捧げた この恋なのに
二度と愛して 呉れないあなた
なぜなの なぜに 呉れないの
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