夢がない僕が夢をみたんだ

冷えた図書室の中
昨日と同じ今日が 終わる
清涼飲料水の夏は
大人が描いた 絵空事だ

白紙のままの 進路調査書を
丁寧に バッグへしまって
うだるような道を 帰る

夢がない僕が 夢をみたんだ
息を吐くように 恋をする夢
置き去りの夏は また過ぎていく
でも何かに 期待してる

白いままの スニーカー
まだなんだ、青春は。

夕焼け 眩しすぎて
自分の影が 濃く見える
漫然と日々をつぶす
僕を支配する 焦燥感

夜の しじまに
赤い アンタレス
スマホで撮った この写真
誰に伝えればいいんだろう

夢がない僕が 夢にみたのは
あいつらみたいに 「普通」になること
冗談言い合って たまに喧嘩して
ふとした瞬間 そっと手を繋ぐ

まだ眠れない 熱帯夜
うんざりだ、夏なんて。

みんな変わってく (夏の魔法で)
僕は変われない (おんなじ場所で)
青春 早く来いよ
空に 叫んだ

夢がない僕が 夢をみたんだ
息を吐くように 恋をする夢
置き去りの夏は また過ぎていく
でも何かに 期待してる

白いままの スニーカー
まだなんだ、青春は。
×