疼木

ああ 愛しい人 笑顔を思い出す
胸が温かくてちくりと刺す
離れるいつかをみんな知っていて
だけど だからこそみんな 共にいる

遠くの声に耳を澄ませ 隣の涙を見守って
白い髭は蓄えなくても 赤い鼻面は貴方の方へ

その淋しさごと抱きしめる 刺も痛みも丸ごとを
ついた傷の赤はまるで この実の色

もう1つだけ願いが叶うなら
その1つは決めてあるんだ
あなたと幸せになるよりも
あなたが幸せであるように

音も無く舞う粉雪 見上げたら一粒混じり
冷たくて閉じた瞳に 疼ぐ想い出の波

未来が過去より大事なら もう泣かないでいようと
決めた胸の赤はまるで この実の色

その優しさごと抱きしめる 嘘も本当も丸ごとを
吐いた息の白はまるで この罪の色
この罪の色
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