江戸三景 えー、じれったい

桜見物 ご新造さんは
丸髷(まげ)も初初しく 伴つれて
土手の川風 じゃれつく裾に
白い素足が ちらちらと
若衆たまらず
「えー、じれったい」

どこの御店(おたな)の お小僧さんか
道に迷いこんで 大騒ぎ
何をきいても しどろのもどろ
所番地も ど忘れて
泣いてばかりで
「えー、じれったい」

寺の坊(ぼん)さん お経もよまず
駕籠でエッササと 吉原へ
どれが菖蒲か 牡丹か百合か
あの女(こ)この女と 小半刻
遣り手ばあさん
「えー、じれったい」
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