夜道

夜道を歩いてたら
銭湯帰りの少女に会った
夜風にゆれる洗い髪は
僕の顔見て走って逃げた
たしかに僕は 見かけはヘンだけど
中流家庭の きさくな奴なのに
夜道を歩いてたら ベンツにつまづいた
幸い運転手は留守なので
おみやげに エンブレムもらった
くさりをつけて 来月のあの娘の
たんじょう日にくれてやれ
裏道を歩いてたら
酒くさいおじさんに会った

「よお おにいちゃん……」
見ず知らずのおやじの
どん底の身の上を
2時間 下北沢で聞くはめになる
夜道を歩いてたら
小便小僧と目が合った
知らんぷりして通りすぎたら
小便したままついて来た
ダッシュして逃げたのについてくる
すっぱだかの彼は早かった
なんとか振り切って
その晩は寝たけど
次の朝トイレで小僧が笑う
これが僕の毎日なんだなと
思ったらわびしくて
また散歩に出向く
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