蜃気楼

花びらの小舟に
憂いを浮かべて
時間のせせらぎに
流されて消えた

蜃気楼 夏の炎
日陰に逃れて
命を嘆くような
蝉時雨に包まれて

帰れない 戻れない
遥か遠く彼方へ
そう思うがままに
行きたいところまで
手を引かれながら

笹の葉がざわめき
風がすり抜けて
砂利道を踏む音
雨上がりの空

夕闇立ち込めて
静まる街はずれ
遠くの山々も
燃えるように赤く染まって

愛せば誰もが
我を忘れるだろう
どうしたらあなたと
ひとつになれるのか
思い巡らせた
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