溺れるほど愛した花

「散々だなボクは」萎(シオ)れる花は言った
簡単な言葉で明日を諦めた
段々色づいた美しい花を見て
「頑張ったらいいよ」
まるで吐き捨てた

命を伸ばしてさ
あの雲の上に咲きたかった
もがいて歌えど
夢は夏に散った

溺れるほど愛した熱情の花よ
溢(コボ)れるほど流れる涙が朱(アカ)の陽に染まる
さよなら深い光の無い世界で泣いて咲いていて
ずっと ずっと

提燈(ランタン)の灯(トモ)らぬ逃げ出した街の様に
簡単にボクらは夢を投げ捨てた
燦々(サンサン)色めいた駆け抜けた日々を見て
「頑張ってきたじゃない」
膝を抱き寄せた

遠くへ 遠くへ
ゆけば振り切れる《宿命(ハズ)》だった
もがいて走れど
夢は足を止めた

溺れるほど愛した失命(シツメイ)の花よ
煙(ケブ)る空に消えゆくあなたが朱(アカ)の陽に染まる
さよなら蒼い光の差す世界で泣いて咲いていて
ずっと ずっと

「背の伸びた向日葵(ヒマワリ)みたいに咲いて居たいな」
願いは露(ツユ)に消えて、水の上に漂(タダヨ)う
沈まぬように堪(コラ)えてよ
永遠を謳(ウタ)い凛と笑うあの
蓮(ハス)の様に

壊れそうだ、あなたがここに居なければ
壊れそうだ、もう一度咲いてよ 溺れる花よ

さらば 愛した熱情の花よ
溢(コボ)れるほど流れる涙が朱(アカ)の陽に染まる
ありがとう淡い光の差す世界で凪(ナ)いで咲いていて
ずっと ずっと
×