呼吸の綾

『僕は間違えてしまった。』
『私は間違えてしまった。』

世界を薄めている言葉にもなれないなら
吸って吐いてを繰り返す機械ならよかったな。
ねぇ、繰り返すことも
上手く出来なくなったから
呼吸を止めた。

深く沈んでゆく魚のように
この世界に馴染んでゆく。

掛け違えた呼吸の数を数えてみた
意味を失くした言葉の抜け殻が
また私だけの世界を大きくする。
私の音を聴いて。

いつかこの世界は私のことを
飲み込んで溶かしてしまうでしょう。
あなたの呼吸になりたかった。
絡まった呼吸を解こうとあなたの名前を呼んだの。
ねぇ、紐はまだ持っている?

『僕は間違えてしまった。』
(あなたは間違えてしまった。)
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