いるかの背中

ぜんぶが水の泡になって
電波の届かないところへ

再起不能です
行く先は塩素の匂い
底なしの冷たい

水槽の中泣き寝入り
水深深く腰掛けて
十人十色 青なら分かる気がしてたんだ

なんの使い道も無い
深まる夜の想像力
長い悪夢も終われば一瞬だったんだ

一目散に追いかけ回る回る
回れば回るほど見えなくなるよ

しんだ魚の目をして
みんなかなしいねそして

流れ流され低体温で
あれやこれや境い目つけて
とぎれとぎれ しあわせなゆめ
思い出せないぼくたちは

いるかの背中
いるかの背中
いるかの背中 追いかけて
あかりの側も気づかず素通りする

いるかの背中
いるかの背中
いるかの背中 追いかけて
大なり小なり勘違い溺れている

いるかの背中
いるかの背中
いるかの背中 追いかけて
あくび ひとり ゆらり
ゆられている
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