思い出の一両列車

「元気でね ちゃんと食べてね」と
母さんはそっと別れ際に
僕の胸元 見つめながら
言葉1つ2つ3つ

「お前など 早く出て行け」と
父さんはあの日別れ際に
僕の眼差し確かめて
心1つ2つ3つ

プラットホーム 発車のベルが鳴れば

一両列車が涙こらえて
稲穂の中を駆けてゆく
夏の日の静かな暮れなずみ
ふるさとを後にして

街の中 人と人と中
大切なものを見失って
母さんの便りを読み返す
言葉1つ2つ3つ

青いインクが 涙に滲んでゆく

一両列車はきっと今でも
終着駅に停まるたび
小さなため息つきながら
年月を数えてる

遠い思い出 昨日の事の様に

一両列車が涙こらえて
稲穂の中を駆けてゆく
夏の日の静かな暮れなずみ
ふるさとを後にして
ふるさとを後にして
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