朝凪

広がる空は大地を残し 生まれ変わった鼓動を刻む
夜を凌いだ水鳥たちは そっと朝に帰るだろう

連なる山は朝日を望み 雲間に伸びる希望を歌う
凪を忘れた大海原は そっと我に返るだろう

悲しみや苦しみを そっと送り出そう
朝が来たら見送ろう 次の岸まで

乾いた風が呼吸をしたら ざわめきだした白樺 香る
夜明けを告げた露草たちは 優しい青を放つだろう

喜びや慈しみを そっと救い出そう
包み込んで見守ろう 次の空まで

美しい故郷の影を思い出して
ここへ来たら手を取ろう 次の旅まで

悲しみや苦しみを そっと送り出そう
朝が来たら見送ろう 次の路まで

異なる声は昨日を溶かし 互いの傷に心を交わす
愛を繋いだ命はやがて そっと明日に満ちるだろう
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