点し火のように

帰り際 咲いていた
小さな花のような
健気な 優しさを
灰で 固めた 道端に
絶え間なく 降って来る
五月雨の雫は
認めも されぬうちに
石に 足跡 刻んでいた

放り出してしまいたくなる程の
惑いのなかから
泪を 覚えればいいさ
立ち停まって
息を吸い込んで
歩いていけるから
燃え上がる一瞬の炎の熱さより
キャンドルの 点し火を
そっと 誰かと分かちたい
きっと 誰かに伝えたい
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