聞こえないように

夕日を纏って歩く君の
影の先っぽあたりを歩いてたんだよ
口先だけで話してたから
何話したかなんて憶えてないけど
唇からこぼれ落ちた
とりとめない愚痴や不安なんかが
僕にはちょっと嬉しかったよ
初めての共通点だった

際限なく続かないのも
叶わないのもわかっていた
不純な動機で始まったかもね
でも今はちゃんとね

君に聞こえないように
大好きだって呟いた
聞こえてないのを確かめて
すこし がっかりした

星屑 繋いで歩く君に
置いていかれないように歩いてたんだよ
映画やドラマにはなれない
中途半端な形の月を見てた

小さく君が笑ってくれるのが
嬉しくて 嬉しくて 悲しかったよ
ため息は空に吸い込まれた

君に聞こえないように
大好きだって呟いた
気付かずに進む足音に
もう一度 もう一度

君に聞こえないように

聞こえてないのを確かめて
すこし がっかりした
聞こえてないのを確かめて
すこし 安心した
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