魚市場のおんな

浜の桟橋 朝焼けに
入船大漁で 女衆(おんな)がさわぐ
だけどあんたの 声はない
波がさらって もう三月(みつき)
魚市場(いさば)のおんなは 涙を見せぬ
泣いたら背中の 赤児がぐずる

つらい知らせは なくていい
姑(ばっちゃ)と子供(わらし)を 食わせにゃならぬ
おんな盛りを けずっても
笑顔つくって 声をだす
陸奥湊(みなと)のおんなは 夜泣く海鳥(かもめ)
あんたが恋しと 布団をかぶる

蕪島(しま)のウミネコ 来る頃に
ふらりと港に 戻ってほしい
坊や抱かせる 夢の日が
いつかその日が くればいい
魚市場(いさば)のおんなは 情けが深い
想い出ひとつで お酒に酔える
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