インターホンを鳴らして

仕事へ行けば愛想笑い 飲みに出掛ける余裕もない
悩みを言える相手もいない この苛立ちを抑えられない

あぁ 今夜も僕はお前を怒鳴っている
やり返せないの知ってて
握りしめた手を振り下ろしそうになった瞬間

ピンポン 誰かやって来た 事情も知らず
「Yシャツ落ちて来ました」 下の部屋の人
「いらっしゃって良かったです」 まともにお礼も言えず
あと少し遅かったら 何かが壊れてた夜

部屋の中でも外の世界も 安心出来る場所なんてない

あぁ 生きてる意味が ずっとわからない
頑張って来たすべてを
窓の向こう側 投げ捨てそうになった瞬間

ピンポン 誰かやって来た 人の気も知らず
「お荷物届きました」と 何度もベルが鳴る
無神経でイヤな奴 お前に何がわかるんだ
ちっぽけな小包に 助けられた昼下がり

誰か鳴らして インターホンを 誰か鳴らして
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