港猫

「いい人だったんだろ?夢みたいな暮らしだって、あったんだろ?」
「春夏秋冬ふためぐり…
なんて、歌の文句じゃないけど…。話せば長いのよ。
今も咲いてるかなあ、夾竹桃(きょうちくとう)の、あの赤い花…。」

あの人と 会ったのは
松山港発 真夜中フェリー
両手で涙を 隠して寝てた
あたいに毛布を 投げた人

小雨に煙る 小倉港
びしょ濡れ仔猫を抱き上げた
忘れられない
赤い 赤い 赤い 赤い 赤い花
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