あとずさり

うなじのあたりに かげりの色
微妙にゆれては漂う頃
たそがれに溶かされる心 あなたを想い出せば

月日が一年めぐりめぐる
オレンジ色した景色の中
ガラス越しの席に座った あなたが見えてくる

少し投げやりな 口ぶりのあなた
けむたそうに煙草をもみ消す

後ずさりしてく 後ずさりしてく
一年はガラスの影法師
後ずさりしてく 後ずさりしてく
一年の命の私の恋

言葉はほとんど覚えてない
全てがぼんやり漂うだけ
たそがれの都会の輪郭 あなたのめいわく顔

心は小さな針で刺され
チクリと記憶に痛々しい
ほんの夢だと片づけたい 今はそう想うだけ

思い切り髪を 短かく切ったら
ぎこちなくうなじが寒かった

後ずさりしてく 後ずさりしてく
風景はガラスの向こう側
後ずさりしてく 後ずさりしてく
一年の月日を見送るだけ

後ずさりしてく 後ずさりしてく
一年はガラスの影法師
後ずさりしてく 後ずさりしてく
一年の命の私の恋
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