アネクドット

噂で聞いた君の姿
僕の知らない街の名前
心に刺さる棘の横で
獣のランプ灯すけど

去年と違うシャツを着せる
心臓より大切な気持ち
僕が最後に残す秘密
寝癖がついたペルシャ猫

ふとした時に
恋しくなる
少し伸ばした髪が
よく似合っていた

アネクドット
居眠りの時に
見る夢はいつも最高さ
アネクドット
僕の切望を
風の音でかき消さないで

探してしまうの
君はずっと
絵に残る宝石

砂の墓場で咲き誇っていた
言葉の花は綿毛になり
君の元に届く頃には
僕の気持ちは変わっていた

波間の赤さ
尊くなる
揺籃の地帰れど
声は出なかった

アネクドット
これからもきっと
辛いことは山ほどあって
脳髄にしみる寂寞の
訳を求めて彷徨うんだ

必ず消せない
僕にとって
君はずっと篝火

アネクドット
逃げ出したくって
君と
遠くの方で焼き付く空に

忘れないでと叫んだ
僕も消える
アネクドット
誰の寂寞も
生物学で語れないよ

アネクドット
居眠りの時に
見る夢はいつも最高さ
アネクドット
僕の切望を
風の音でかき消さないで
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