港こぼれ花

港 海鳴り 北の果て
軋(きし)む戸口の 花のれん
人恋し気(げ)に 酌をする
女の手首の うすい傷
捨てて置いたら くずれそな
おまえ 港の こぼれ花

何を想って 暮らすのか
店の二階で ひっそりと
見えない過去が 見えたよで
抱いても心を 乱される
忘れさせたい 何もかも
俺の この胸 こぼれ花

夜明け間近の 流れ雪
別れ惜しんで 泣く霧笛
眠れば素足 からませる
一夜(ひとよ)じゃすまない いじらしさ
いっそふたりで 生きようか
俺も お前も こぼれ花
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