夜想曲

変わることを恐れた一匹のエゾシカは
春を迎えることすら ままない様だった
月に照らし出されて 雫が煌めいて
銀色に囲まれた二度ともうない夜だった

一粒、二粒、雪が背を刺す度に想いがまた募る
遠ざかっていく街や声をもう一度抱えていきたい

愛や憎しみ、欲望までも全てを飲み込んで
混ぜて満たしてゲロになるまで全てを吐き出したい
いつか訪れる自分の死まで全てを飲み込んで
最後笑って眠りにつく為、全てを溶かしていきたい

「道に迷ったなら東へ行きなさい、日が昇り出すから。」
とあの時父は言った

愛や憎しみ、欲望までも全てを飲み込んで
混ぜて満たしてゲロになるまで全てを吐き出したい
いつか訪れる自分の死まで全てを飲み込んで
最後笑って眠りにつく為、全てを溶かしていきたい

いずれ朽ちて無くなってしまうまで
なるがままで歩いていくのです

愛や憎しみ、欲望までも全てを飲み込んで
混ぜて満たして光になるまで全てを吐き出したい
人に産まれて人である限り人を求めていく限り
最後笑って眠りにつくまで全てを抱きしめてみたい

いずれ朽ちて無くなってしまうまで
なるがままで歩いていくのです
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