三日月夜話(母へ…)

しだれ柳の 乱れ打ち
金や銀色の 夜染め花
美人薄命の いわれにも
あなたのなごりが 響きます
あなたのこしらえた 浴衣のすそは
きぬ糸の風に 遊ばれて
くるぶしにさえ とどかない
季節の流れを 物語る

明日天気に てる坊主
目無し小僧の おまじない
三日月の夜に 縁側で
昔の話を してくれた
心残りなのは ただひとつだけ
私とあの人の 結晶を
優しい腕に 抱きあげて
笑顔をこぼして 欲しかった
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