想ノ舟

澄んだ小夜風が 玉響(たまゆら)を吹き抜けて
涼やかな虫の音(ね)は ふたり包むよう

こころ寄せ ただそっと
同じ天(そら)を見上げた

優しい月影に 願いをあずけて
あなたへ漕ぎ出した 想いの小舟

不意に揺れたのは 泡沫の花影(はなかげ)か
まなざしで語らえば 時が止まるよう

もし明日が見えずとも
同じ今を生きたい

清(さや)けき月の下(もと) 祈りの調べは
静寂(しじま)を流れゆく 木の葉が如く

巡り 巡る 日々の詩片(かけら)
辿ればあふれる 命の彩りの旋律(おと)に
ともに信じた夢を乗せ…

優しい月影よ 思慕(おもい)を 照らして
あなたと往けるなら 何処までもずっと
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