ウタキの丘で

かすかに夏の気配が
海風にもまじると
ひとつまたひとつと今年も
蛍が集まる

戦火にまみれた島で
幼い日々送った
ふたりが手をつなぎ登った
あの丘の森に

あなたの 声が する方へ飛ぶ
青いちいさなひかりがわたし
幾千の青にまじって

ウタキの丘で また逢いましょう
あの頃のように 笑い転げて
ウタキの丘で また逢いましょう
命果てても 約束どおり

あなたが私の名前を
石で刻んだ幹に
お母さんやお父さんに似た
蛍が飛び交う

星屑みたいに森をうずめて
夢も知らず恋も知らず逝く
くやしさを鎮めるように

ウタキの丘で また逢いましょう
あの頃のように 笑い転げて
ウタキの丘で また逢いましょう
命果てても 約束どおり

いくつ夏が過ぎて行っても

ウタキの丘で また逢いましょう
約束どおり また逢いましょう

ウタキの丘で 命果てても
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