白昼夢から覚めて

茶色い髪は黒に戻った
苦くて飲めないビールが飲めた
あの車は売りに出した
君の知らない僕に少し変わっていた

映画をひとりで感動して
出しっぱなしにしたドライヤーは
次の日そのまままた使うようになった
「少しも寂しくないよ」

毎日を過ごす意味を失って
どれくらいたっただろう
もう随分経つかな
どこにいても思い出してしまうよ
今ならまだ間に合う
全て許してあげるから

「あの子が可愛い」とか
言えば不機嫌になったことを思い出したよ

忘れさせないかのように
また夢に出てきて微笑んで
僕の名前を呼んだ
なにをしても思い出してしまうよ
今ならまだ間に合う
全て無かったことにしよう

じゃあ僕が
他の誰かと何処かへ行って
他の誰かと喧嘩して
他の誰かと手を繋いで
抱き合って、キスをして
ふたりでしか呼ばない様な
呼び名で呼び合ったりしていいのかい
あんなに嫌がっていたじゃないか
なあ
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