さいごのリンゴ

青い葦の原に見ろ 見たこともないリンゴの木
ゆっくり近づいて見ろ 大きな洞持つリンゴの木
何でリンゴの木? そこにあったのさ

恐れず近づいて見ろ 金色の実がなっている
まわりも見渡してみろ 銀色の実もなっている
食べてみようかな? ここにあるからさ

赤い赤い リンゴの実を 懐かしんで探しても
見つからない 見つけられない 甘酸っぱい匂いもしない
だけど僕は おなかすいて 今にも倒れそうなんだ
だから今は このリンゴを 食べて食べまくろう

1つもいでみた 口に入れてみた

顔を下に向けて見ろ 物欲しそうな人の群れ
顔を上げて空を見ろ カーキ色した陽の光
赤いリンゴの実? それはおいしいの?

ネズミの様に もうどこでも 生きられる気がするのさ
ゴキブリの様に もう何でも 食べられる気がするのさ
たまらなくて 僕はパンツを脱ぎ捨て叫びまくるのさ
いつのまにか 体中に力がみなぎっているのさ
やがて僕は 言葉という意識さえなくなってきて
もう喋れない もう喋れない…
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