ゆきこ

だれも知らない路地裏の
汚れなき花のような
ゆきこは純な純な娘だったよ
なれない手つきでセーターを
あんでる姿が目に浮ぶ
今でもこの俺ゆきこがいのちさ

お前にばかり苦労かけてすまなかった
俺がいくじがないばっかりに
指輪の一つも買ってやれないで
みじめな想いをさせて本当にすまなかった
それでもかぼそい身体でだまってつくしてくれた
お前を想うと俺は今でも
今でもおもわず泣けてしまうぜ

暗い記憶のみちのくに
降りしきる雪のような
ゆきこは純な純な娘だったよ
倖せひとつもあげられず
あの夜二人は別れたが
今でもこの俺ゆきこがいのちさ
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