あなたしかいらない

消し忘れの煙草をひねり
“忘れないよ”と呟くあなた
夜明け前のホテルの部屋は
哀しいほどさよならの香り
愛した記憶さえボロボロに
もう他人より冷たい顔だけど

あなたしかいらない
背中に駈け寄り 涙を埋(うず)めたら
あなたしか見えない
あなたしかいらない
あなたしかいらない

呼び慣れてる名前をそっと
胸の中で呼びかける私
薄明かりのルームライトに
揺らめくのはしあわせの破片(かけら)
抱かれた温もりがヒラヒラと
もう魂(こころ)まで舞い堕ちてゆくけど

あなたしかいらない
誰かを愛して 邪魔だと解(わか)っても
あなたしか見えない
あなたしかいらない
背中に駈け寄り 涙を埋(うず)めたら
あなたしか見えない
あなたしかいらない
あなたしかいらない
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