十六夜の月

十六夜のお月さんよ 稲穂も踊るほど光るなら
今 遠い恋焦がれた郷國と 会えない人も守ってくれますか

山に木霊する篠笛 聞き付けて集まる星の群れ
灰色の雲が押し寄せて 時季合わせの時雨で泥だらけ

十六夜のお月さんよ 稲穂も踊るほど光るなら
今 遠い恋焦がれた郷國と 会えない人も守ってくれますか

蝙蝠が闇の中に舞う 木立の歌声は柔らかく
草臥れ始めた背中を押す 無垢な風が仄かに香る

十六夜のお月さんよ 稲穂も踊るほど光るなら
今 遠い恋焦がれた郷國と 会えない人も守ってくれますか

十六夜のお月さんよ 私はそろそろ還るから
草の下の蟲達と 一度眠らせてくれますか
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