阿波の鳴門

淋しかったろ どんなにか
おさないおまえを ひとりにさせて
あれから十年 北・南
娘さがしの 放浪記
風の便りの めぐり逢い
阿波の鳴門の 汐鳴り高し

どこでどうして 暮らしても
曲ったことだけ しないでおくれ
いえいえ、元気で いてくれりゃ
罪は背負います この母が
犇(ひし)と抱きあう 母と子に
阿波の鳴門の 夕汐(ゆうしお)かなし

親は無くとも子は育つ
海の夕陽におまえの無事を祈りながら
母さんには悔いと涙の日々でした。

どんな気持で こんな夜は
み寺の鐘の音 聞いてたことか
許しておくれよ 母らしい
ことも出来ずに 来た女
今は御禊(みそぎ)を あゝふたり
阿波の鳴門の しぶきを浴びて
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