契り パートII

ふるえる私の指先が
あなたの顔をなぜながら
覚えさせてといったのは
季節が傾く夜でした

ザラつくひげのそりあとや
ふくらむ黒子(ほくろ)の手ざわりや
心という名のかたまりも
その時感じたものでした

言葉を知らない鳥たちが
体を寄せて鳴くように
夜にあからむやわ肌を
あなたにあずけるだけでした
手紙は焼けば灰になり
指環もいつかは傷がつく
契(ちぎ)りという名のともしびを
その時ともした人でした

契(ちぎ)りという名のともしびを
その時ともした人でした
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