ラムレーズンの恋人

「何が好きとか何が嫌いとか
いい年だからもうやめたら?」と
あの人は言った

「好き嫌いとか目を悪くするのよ。
目を悪くするとさ、この美人が見えないよ。」と
あの人は言った

そして彼女は準備を始めた

あの人が毎朝焼くパンには決まって忍び込んでるラムレーズン
それをひとつかみ、ちぎってはバレて怒られるのが好きだ

「嘘であるなら嘘でいいけど
最後の日まで騙しきって」と
あの人は言った

あの人が毎朝焼くパンには決まって忍び込んでるラムレーズン
いつからか無くして嫌いだけ残って好きになれないラムレーズン

嘘や本当はさておき、あの日々があったような
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