朱夏

掃き溜めのような路地裏
黒く煤けた空を突き刺した
一筋の稲光りが照らし出した未来を
俺たちは獣の眼でただ睨みつけていた

朱く燃える夏に
燻れている夢の残骸
離しかけたその手を
俺たちは繋ぎとめて
守り切れるのだろうか

賽の河原には夕闇
踏みつけてきた骸の向こうで
積み上げた石のように崩れ落ちそうな世界に
俺たちは獣の眼でただ牙を剥いていた

朱く燃える夏に
草臥れている夢の残骸
忘れかけた約束を
俺たちは繋ぎとめて
信じ切れるのだろうか

朱く燃える夏に
燻れている夢の残骸
離しかけたその手を
もう二度と離さないように
強く握りしめたなら
そして守り切れたなら
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