球根栽培の唄(ときわ荘にて録音)

球根栽培の花が
咲きました
孤立無援のお前のように
机のすみで 咲きました

死んでしまえばいいと言い
酒を飲む
笑うお前の横顔は
どこかあの花に
似ています

淋しいページの音をめくり
長い思想のむなしさを読む
ぼくは どこまでも
ぼくであろうとし
ぼくが ぼくで
ぼくであろうとし
ぼくはどこまでも
ぼくであろうとし
ぼくが ぼくで
ぼくであろうとし

やがて
ぼくはモデルガン改造に
熱中していた
もうすぐ憎愛に変るだろう
ぼくの孤独な情念は
壁を突き通す一発の弾丸に
なるはずだった――。

ガリ版刷りのアジビラが
風に舞う
赤ヘルメットのお前が
ぼくを見つけて
手を振った

球根栽培の本を
知ってますか
孤立無援のいのちがもえて
花火のように咲きます
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