ふるさとの匂い

まだ暗い 無人駅
遠い日の 母の姿
渡された おにぎりを
列車で泣いて ほおばった
胸沁みる しょっぱさに
ふるさとの 匂いがした

つらい時 読み返す
遠い日の 母の手紙
擦り切れた 便せんに
見慣れた文字が 滲(にじ)んでる
抱きしめる あたたかい
ふるさとの 匂いがした

いつまでも 忘れない
遠い日の 母の笑顔
今はない あの家の
庭先咲いた 沈丁花(じんちょうげ)
色褪せぬ わらべ唄
ふるさとの 匂いがした
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