女の源氏物語

女千人 抱いてもいいわ
桜散る頃 逢う夜は
わたくし一人の 貴方でしょう
衣の袖を 引き寄せられて
運命(さだめ)の糸を 結び合う
猫の目 睨むな 朧月夜です

夢が濡れます 睫毛の先に
覗く手鏡 散る雫
空しさ悔しさ 知りました
一夜も千夜 待つ身のつらさ
暦をめくる 熱い指
潜(くぐ)り戸 閉めます 朧月夜です

烏帽子 まぼろし 貴方の影が
胸にときめく やるせなさ
貴方のためには 道はない
願懸(か)けなどで この恋死なぬ
女の 源氏物語
あしたを泣かせる 朧月夜です
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